慢性胃炎の解説、注意点

chronic-GI2慢性胃炎とは本来は病理学的な概念であり、顕微鏡でみると胃粘膜に炎症があるといったものですが、日常臨床上は内視鏡的に診断され、胃粘膜の発赤、浅い欠損(びらん)、萎縮、腸上皮への置換の程度などにより形態的に診断されます。注意点としては、慢性胃炎の中でも粘膜の萎縮がある萎縮性胃炎や、胃粘膜の腸上皮への置換があるもの、鳥肌胃炎は胃癌のリスクが高いことがわかっているので、定期的な胃カメラ検査をうけることが望ましいことです。

症状
胃のもたれ、不快感、胸やけ、食欲不振、吐き気、腹部膨満感など 無症状のことも多い
原因
主にヘリコバクター・ピロリ菌の感染に起因する。他に、感染症、薬剤、全身疾患の一病変などの可能性もある
診断
厳密には胃生検にて顕微鏡的に診断するが、日常診療上は胃カメラ検査による、胃粘膜萎縮のひろがり、ひだの変化、腸上皮化生に注意し形態診断する
治療
症状がある場合は胃酸を抑える薬、消化管の運動を調節する薬などを投与する。症状がない場合は経過観察する。ヘリコバクター・ピロリ菌の除菌は胃癌の発症を抑える可能性があるが、現在は慢性胃炎に対する除菌療法は保険適応ではない