生薬解説

syouyaku-kaisetu1

漢方薬は様々な自然の生薬によって構成されています。これらの生薬の由来、働きなどについて解説します。

  • 黄耆(おうぎ)

    中国産マメ科植物の根。強壮剤で皮膚の栄養を良くし、利尿、止汗の作用もある。

  • 黄芩(おうごん)

    シソ科のコガネバナの根。みぞおちのつかえをとる作用がある。一種の健胃剤。また、病的な水分を去り、利尿の効もある。炎症を去り、清涼解熱の効もあり。

  • 黄柏(おうばく)

    ミカン科のキハダの樹皮。消炎、健胃、整腸、殺菌などの効果がある。

  • 黄連(おうれん)

    キンポウゲ科のオウレンの根である。抗菌作用があり、また苦味健胃剤で、赤痢、腸炎、結膜炎等に用いる。止血、鎮静、消炎の効があり、のぼせ、興奮、出血、炎症等のあるものにも用いる。

  • 葛根(かっこん)

    クズ科のクズの根。汗を出して、熱をさげ、体にこもった熱をとる効がある。また、筋肉の緊張を緩めて、肩の凝りを治し、腸管の蠕動を調整して、下痢を治し、しぶりばらを緩和する効がある。

  • 乾姜(かんきょう)

    ショウガ科のショウガの根を乾燥したもの。内臓に刺激を与えてこれを温め、新陳代謝を盛んにし、体内に蓄積する病的な水分を去り、ガスを排除し、消化を助ける効がある。薬効:健胃、鎮嘔、手足の冷えを治する、胃内停水を去る。

  • 甘草(かんぞう)

    中国産マメ科のカンゾウの根。急迫的な疼痛、痙攀、咳嗽などに用いて、これを緩和する効があり、また味が甘く、飲みにくい薬の矯味剤となり、他の薬の作用に協力する。なお甘草には肝臓の解毒作用を強化する作用がある。

  • 杏仁(きょうにん)

    バラ科のアンズの種子。咳嗽を治し、痰を去り、他薬の調味剤として用いられる。血の停滞を治し、尿の通利をよくし、浮腫を去り、鎮痛、潤燥の効もある。

  • 桂枝(けいし)

    中国南部、東部インドなどに産するクスノ木科の桂の枝の皮。汗を出して、からだの表面の邪気を去り気と血のめぐりをよくして、陰陽を調和し、気が上にのぼるのを治する効がある。薬効:発汗、解熱、鎮痛、興奮のぼせをとる、健胃、整腸。味は甘い。

  • 膠飴(こうい)

    米を蒸して、麦芽でつくった飴。滋養強壮剤。

  • 厚朴(こうぼく)

    モクレン科のホホノキの樹皮。利尿、去痰、消化の効があるとされる。また神経症、腹痛、腹部膨満、喘咳にも効果的である。

  • 粳米(こうべい)

    イネ科のウルチイネの玄米で、滋養、強壮、緩和、止渇の効がある。

  • 五味子(ごみし)

    チョウセンゴミシの果実。去痰作用があり、滋養強壮の効がある。強精、強壮の効ある鎮咳剤。

  • 細辛(さいしん)

    ウマノスズクサ科のウスバサイシンの根。新陳代謝を促して、血行を良くする。利尿の効があり、鎮咳、鎮痛の効もある。頭痛、関節痛、鼻閉を治し、鎮咳の効があり、胃内停水を去る。

  • 山梔子(さんしし)

    アカネ科のクチナシの果実。消炎、利尿、鎮静、止血の作用がある。充血や黄疸をとる作用もある。

  • 地黄(じおう)

    ゴマノハグサ科のアカヤジオウの根。強壮、滋潤、緩和、止血、鎮静、鎮痛の薬効がある。

  • 芍薬(しゃくやく)

    キンポウゲ科の芍薬の根。血液のうっ滞を治し、諸種の腫れ物を治する薬に加え、疼痛を治し、月経の不調を治する薬である。また筋肉の緊張、弛緩を調節し、腹痛、下痢を治す。

  • 生姜(しょうきょう)

    ショウガ科のショウガの生の根。芳香性の健胃剤として働き、嘔吐を止め、体内の水分の代謝をよくして浮腫や腹部の膨満を治する効がある。薬効:健胃、鎮嘔、体を温める。

  • 石膏(せっこう)

    天然の含水硫酸カルシウム。薬効は鎮静、消炎、解熱、口渇をとめるなどがある。

  • 川芎(せんきゅう)

    センキュウの根茎。補血、強壮、鎮静の作用がある。

  • 蘇葉(そよう)

    シソの葉。発汗、解熱、鎮咳、利尿の効があり、神経症にも効果がある。

  • 大棗(たいそう)

    クロウメモドキ科のナツメの果実。急迫性の、激しい咳嗽、腹痛、痙攀、心悸亢進などを治するとともに、強壮の効がある。緩和作用のある強壮、利尿剤で鎮咳鎮痛の効あり。味は甘い。

  • 沢瀉(たくしゃ)

    オモダカ科のサジオモダカの塊茎。利尿作用があり、口渇をとめ、めまいを治す作用がある。

  • 陳皮(ちんぴ)

    熟した蜜柑の皮。薬効としては健胃、鎮咳、鎮嘔、利尿などがある。

  • 当帰(とうき)

    セリ科のトウキの根。貧血を治し、出血をとめ、体を温めて、滋潤を与え、月経を調え、鎮痛、鎮静の薬効があるとされる。

  • 桃仁(とうにん)

    バラ科のモモの種子。消炎、鎮痛、駆瘀血の作用がある。

  • 人参(にんじん)

    ウコギ科のチョウセンニンジンの根。強壮薬として用い、肺病、神経衰弱、陰茎、遺精、衰老、貧血、腎臓病、子宮病、及び一切の体力消耗によって起こる病にみな用いる。神経衰弱からくる、頭痛、めまいに特に効がある。またよく人体の新陳代謝を興奮せしめ、且つ利尿作用がある。消化吸収をよくして、食をすすめ、嘔吐、下痢をとめる効もある。

  • 麦門冬(ばくもんどう)

    ユリ科のジャノヒゲの塊根。「緩和、滋養、去痰、解熱、湿潤」などの効果がある。

  • 半夏(はんげ)

    サトイモ科のカラスビシャクの塊茎。激しい咳嗽や嘔吐をしずめ、病的な水分を去り、尿を利する作用もある。また気の上逆を下げる効がある。薬効:鎮嘔、鎮吐、去痰、利尿(みずをとる)、胃内停水を去る、上衝を治する(のぼせをとる)。

  • 白朮(びゃくじゅつ)

    キク科のオオバナオケラの根茎。消化を助け、胃を丈夫にし、体内に蓄積する病的な水分を去り、熱を取る作用がある。また鎮痛の作用もある。

  • 茯苓(ぶくりょう)

    サルノコシカケ科のマツホドの外皮を削り去ったもの。利尿作用があり浮腫などの体液の偏在を調節する。また強壮薬として衰弱しているものに用いることもある。他、鎮静の作用もある。

  • 附子(ぶし)

    キンポウゲ科のトリカブトの幼根。有毒植物であり、用法、用量を誤ると中毒症状が現れるが、上手く用いると非常に良く効くことがあり、重要な薬物の1つである。附子は新陳代謝を促し、鎮痛、鎮痙、治麻痺、強心、強精、四肢の冷えを治す作用がある。

  • 牡丹皮(ぼたんぴ)

    ボタンの根皮。薬効は消炎、駆瘀血。

  • 麻黄(まおう)

    中国産マオウ科のマオウの地上部。麻黄は交感神経を興奮させる作用があって、発汗を促し、喘鳴を治する効があるが、なお利尿作用と筋肉、関節などの疼痛を治する作用もある。薬効:発汗、利尿、治喘咳、鎮痛。

  • 木通(もくつう)

    アケビの木質部。消炎性利尿の効がある。血行を良くする作用もある。間接痛にも効果がある。