クズ科のクズの根。汗を出して、熱をさげ、体にこもった熱をとる効がある。また、筋肉の緊張を緩めて、肩の凝りを治し、腸管の蠕動を調整して、下痢を治し、しぶりばらを緩和する効がある。
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黄柏(おうばく)
ミカン科のキハダの樹皮。消炎、健胃、整腸、殺菌などの効果がある。
黄芩(おうごん)
シソ科のコガネバナの根。みぞおちのつかえをとる作用がある。一種の健胃剤。また、病的な水分を去り、利尿の効もある。炎症を去り、清涼解熱の効もあり。
黄連(おうれん)
キンポウゲ科のオウレンの根である。抗菌作用があり、また苦味健胃剤で、赤痢、腸炎、結膜炎等に用いる。止血、鎮静、消炎の効があり、のぼせ、興奮、出血、炎症等のあるものにも用いる。
黄耆(おうぎ)
中国産マメ科植物の根。強壮剤で皮膚の栄養を良くし、利尿、止汗の作用もある。
六君子湯(りっくんしとう)
麻杏甘石湯(まきょうかんせきとう)
麻黄細辛附子湯(まおうさいしんぶしとう)
- 成分(生薬)
- 麻黄5、細辛3、附子0.5-1
- 目標・適応症
- 老人や虚弱体質なもの、疲れで体が弱っているものにつかうことが多い。悪寒、微熱、全身倦怠感、無気力、身体疼重、手足の冷え、咳嗽などの症状を目標とする。診察所見としては脈は沈んでいて力のないことが多い。一般的には感冒、気管支炎、肺炎、気管支喘息などに用いられる。
- 治験例
- (一)感冒
55歳男性。平素より虚弱な体質であった。悪寒がして熱が39度となった。元気なく、悪寒がして耐えられない。非常に疲れていた。脈は沈んで細く弱い。麻黄細辛附子湯を2日分与えた。服用すると全身が温まり、こころよく汗がでて、すっかり治ったという。このように効く風邪薬をのんだのは初めてであると感謝された。(矢数道明氏治験)
麻黄湯(まおうとう)
- 成分(生薬)
- 麻黄5、杏仁5、桂枝4、甘草1.5
- 目標・適応症
- 体質がしっかりしていて充実感のあるものに一般的に用いられる。熱性病の初期に用いられることが多く、頭痛、身疼痛、腰痛、関節痛、寒気、汗が自然に出ないという症状が目標となり、脈は浮緊、舌や腹部に特徴的な所見はない。感冒や気管支炎など熱性病の初期以外に、小児の鼻つまり、気管支喘息、関節リウマチの初期などにもつかわれる。
- 治験例
- (一)鼻づまり
10歳の少年。ふだんから鼻炎がある。風邪をひくと鼻がつまって、口で呼吸しなければならない。頭痛、ときどき寒気、脈は浮で力がある。咳はでない。麻黄湯を与えると10数分で鼻のつまりがとれ、風邪も3日の内服でよくなった。麻黄湯を風邪に用いるときは、脈が浮いていて力があり、さむけと熱があって、頭痛がしたり、ふしぶしが痛んだり、鼻がつまったりするのを目標とする。(大塚敬節氏、漢方診療30年より)
半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)
- 成分(生薬)
- 半夏5、黄芩2.5、乾姜2.5、人参2.5、甘草2.5、大棗2.5、黄連1
- 目標・適応症
- 心窩部(みぞおち)のあたりが痛む、つかえ感がある、吐き気、嘔吐、食欲不振、下痢、口臭、お腹がゴロゴロ鳴る、ゲップが出るなどの症状を目標とし、診察所見としてはみぞおちに圧痛があり、胃内停水、舌に白苔がついていることが多い。一般的には急性、慢性胃炎、胃酸過多症、胃下垂症、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、便秘、下痢、神経衰弱などに用いられることが多い。
- 治験例
- (一)神経衰弱症
この患者は神経症で、みぞおちにつかえ感があり、不安感が強く、体格はがっしりしているが、気持ちは至って小さく、疲れやすく、足冷え、不眠症で種々の治療をおこなわれていたが効果がなかった。腹部は比較的軟弱で、みぞおちに軽度の圧痛があり、胃内停水が認められる。半夏瀉心湯を与えると、みぞおちのつかえ感がとれ、不安感もなくなり、食欲が出て、よく眠れるようになった。(矢数道明氏、漢方百話より)(二)胃拡張症(胃炎)
44歳男性。生来健康で酒を好み、暴飲暴食を続けていた。胃を悪くしたので禁酒したが、今度は大の甘党になってしまった。昨年暮れよりみぞおちに不快感が出現し、胸やけを訴え、夕方になると嘔吐するようになった。臭いゲップがしきりに出る。体格は中等度、舌には白苔がついており、みぞおちには圧痛があり石のように固い。時々腹鳴がある。半夏瀉心湯加茯苓を与えると、服薬10日にして症状の大半が消失した。本証は生姜瀉心湯の証であろうが、半夏瀉心湯加茯苓がよく奏功した。(矢数道明氏、漢方と漢薬3巻1号より)